多分俺、GENのこれまでの人生を語るとき、
絶対にはずせない重要な話。
でもこれは自分のプロパガンダのためでなく、未だあまりに情報量の少なく認知されていない病気であることから、同じ症状で絶望の淵に立たされてしまった演奏家の皆さんにできる限り届けたいという思いでこのページを立ち上げることにした。
自分と同じ思いはして欲しくないという気持ち・・・
本気に音楽家を目指しているなら、その人生を左右してしまう位深刻なことだから。
初めは大分昔になるけど、ピアノが思うように弾けなくなった。
とても簡単な、普通にできるはずのことが短いスパンでできなくなってしまった。
気のせい、練習のし過ぎ、練習の仕方が悪かった、下手になった・・・
他人にはこんなことしか説明できないし、本当のことは伝わらない。
整形外科や整体に行ったけど多少の波があっても元に戻ることはなかった。
結局だましだまし、演奏はしていたけどそれ以来何かコンプレックスのような絶望感のようなものをずっと抱えて生きてきた。
バイオリンはそれでも普通に弾けてたのだけど、Dur mollのファーストアルバムを出した頃はもうおかしくなり始めていた。
右手のボーイングがとてもし辛い。2008年にHIGH GRADE PROJECT 2008をリリースしたけど、その頃から(いや、もう少し前から)2010年、この病気の治療法があり、それが定位脳手術だということがわかるまで、弾けないのに無理やり弾いて、弾ける人を演じて、二次的に引き起こした腱鞘炎の痛みを止めるために何度も手首にステロイドの注射を打ち、演奏家の良心を問いながら活動してきたというのが現実。
治療法に出会うことができたのにはいくつかの事がある。
自分で神経内科の領域を疑って診療を受けていて、「ジストニア」という言葉を聞いたのを覚えていたこと。
演奏家の手を専門に見ている整形外科にかかったとき、痛みよりまずこわばりや思い通りに動かなくなったということは、末梢ではなく中枢のトラブルだと思うと言われたこと。
上の二点のことに自分の症状や音楽関連のことを抱き合わせて検索しまくったら、同じ症状の方、手術を受けた方のブログ、東京女子医大病院の平先生のホームページなどがヒットした。
こうして幸いにもこの病気の情報に出会うことができ、2010年6月10日に手術を受けることができた。
この局所性ジストニア、大きな大学病院の整形外科医であれ、神経内科医であれ、知識がない限り特定できないし、まして治療法などわからない。これがすごく困ったことだと思う。
手自体の問題ではなく、視床、大脳基底核にあるほんの米粒みたいな大きさの神経核を熱凝固で破壊してしまうことによってよくなる。こんなこととても想像つかないよね。
練習などで、反復運動をたくさんすると起こりやすい。なぜかそれによって不随意運動を起こす神経の回路が発達してしまい、誤信号をループする現象を起こし、手がこわばったり思い通りに動かせなくなるという原理らしい。
実は手だけでなく、足、口(舌)、首など身体のいたるところに生じるので、漫画家の方、音楽でも管楽器の方など様々。
で、驚くべきことは、演奏家のおよそ20%にこの症状が起こっているらしいといわれている。
だから俺は音楽を愛する仲間たちにどうかこのことを知ってもらいたい。
手術を受ける受けないはもちろん本人の意思だけどね。
リスクが0って事はないので、ちょっと賭けでもあるし。
ただ俺は人生における最大の「謎」が解けて本当によかったと思っている。
日本でこの手術を積極的に行い、実績も一番なのが東京女子医大病院、脳神経外科の平孝臣先生のチーム。ジストニアに対する定位脳手術は医学界の中でも賛否両論が多いらしいが、患者の切迫した思いと実績に基づいた信念に基づいて診療してくださる。 とても笑顔が素敵な信頼できる先生です。
2010年7月
是非見て欲しい
とにかく疑わしいことで悩んでいたり、質問したいことがあったら
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このページをアップする頃にはぼちぼちとカムバックしてると思います。
再起したDur mollをどうぞよろしく!
最後に平先生、琢磨さん、ジョー君(サイキックラバー)ありがとう!!